祭りの後の話

シェイクスピア全集『十二夜』(シェイクスピア:作、松岡和子:訳/ちくま文庫)を読んでおくと
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皆さん、こんにちは。

生活情報誌『BTLサンド』の専属ライター、とっしーです。

今回は、僕なりの眠れない夜の対処法をお話ししようと思います。

眠れない夜といってもさまざまなパターンがあると思いますが、今回の標的は無性にもの悲しくなってしまう夜です。

今日一日楽しいことがたくさんあったのに、夜になった途端、明日からどうやって生きていけばいいのかわからない。

そんな夜ってありませんか?

楽しい時間が終わり、寂しさを感じることを「祭りの後」といいます。

旅行から帰った日の夜、なにかをやり遂げた日の夜、夢が叶った日の夜。

日常に戻る寂しさ。

もうあの場所に行くことは、あの高揚感を経験する機会は二度と来ないのではないかと、どこかで恐れているからこそ、僕はそんな夜に眠れなくなるのだと思います。

もの悲しさを紛らわすためにスマホをいじっても、得られるものはなにもなく、中途半端な気持ちのまま余計に眠れなくなるだけ。

そこで僕は、そんな夜を迎えると、大学教授のある一言を思い出すようにしています。

僕がその一言を聞いたのは、大学の卒業祝賀会でした。

ただし、僕は決してその教授と仲が良かったわけではありません。

むしろ専攻の都合上、その教授と会話したことはほとんどなく、祝賀会でも自己紹介から始めたくらいです。

にもかかわらず僕にとっては、お世話になった教授たちとの会話よりも、その教授の一言の方が印象深く記憶に残りました。

そのとき教授は、僕に向かって静かにこう言ったのです。

「この歳になって良かったことは、これが最後じゃないとわかるようになったこと」

思い返せば、卒業論文は孤独とプレッシャーとの戦いでした。

けれど、研究室に行けば同じ悩みと目標を抱く仲間がいて、一緒に戦ってくれていました。

無事に論文を完成させ、卒業を迎えたあのとき、確かに達成感と高揚感があったと思います。

同時に、そんな仲間とも卒業すれば離ればなれになり、なかなか会えなくなるという寂しさがあったのも事実です。

教授は僕のそんな気持ちを察したのでしょうか。

この一言のおかげで、きっとまたみんなに会えると、僕は安心できたのです。

しかし後になって、教授の一言は単純に仲間と再会できるという意味だけではないのではないかと思うようになりました。

一緒に戦ってくれる仲間との出会いも「これが最後じゃない」。

なにかをやり遂げて達成感を得ることも「これが最後じゃない」。

今後の不安なんて考える暇がないほど楽しい時間を過ごす機会も「これが最後じゃない」。

そういう意味だったのではないかと思うようになったのです。

そう気がついてから、眠れない夜はいつも、初対面も同然だったあの教授の一言を思い出しています。

そうして、自分自身と自分の未来を信じて、眠りについています。

けれど、ここまで思い至るころには、たいてい頭が冴えてしまっているでしょう。

明日からのことなんて、ま、どうでもいい。

そのくらいに考えて、さっさと寝た方がいいのかもしれませんね。

では、今回はこの辺で。

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