『マーダーズ』(長浦京/講談社)を読んでおくと
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出来事
水族館内のレストランにやってきた、さっつんとののちゃんの2人。
それぞれメニューを開き、食べたいものを選び始める。
「写真がないメニューってどんな感じかわからないから、注文するときちょっと勇気いるよね」
「確かにね」
ふいに周囲を見回すののちゃん。
「ののちゃん、大丈夫?」
「え? うん、大丈夫だよ。ところで、さっつんは水族館で甘いもの食べるのってどう思う?」
「水族館で甘いもの?」
「…あ、ごめん、やっぱりなんでもない」
「え、大丈夫だよ」
メニューを閉じる2人。
「私、メニュー決まったよ。ののちゃんは?」
「うん、私も決まった~。じゃあベル押すね」
ベルを鳴らすののちゃん。
店員がやってくる。
「お決まりでしょうか」
「ホットケーキをひとつ」
さっつんが言った。
「ビーフカレーをひとつ」
ののちゃんが言った。
「かしこまりました」
お互いに見つめ合う2人だった。
ののちゃん目線
水族館内のレストランにやってきた、さっつんとののちゃんの2人。
それぞれメニューを開き、食べたいものを選び始める。
あ、海鮮丼がある~。
この水族館海に近いし、新鮮なお刺身食べたい。
あーでも、海鮮丼はお味噌汁もついてくるし、こっちはお刺身と天ぷらのセットか~。
どっちも量が多くて食べきれないかも。
ん~、ちょっと厳しいかなあ。
ほかのものは…。
あ、単品メニューにお刺身がある!
単品でそろえるのもいいな~。
お刺身単品と…。あとご飯…。
あ~でも、それじゃあ海鮮丼と変わらないかなあ。
単品のご飯って結構ボリューミーだったりするから…。
じゃあ、ご飯の代わりに単品のお味噌汁にしちゃう?
お刺身とお味噌汁ならバランスとれるかな?
でも、逆にお刺身の量が少なかったら?
海鮮丼の写真はあるけど、単品メニューの写真はないのよねえ。
う~ん、迷っちゃう。
「写真がないメニューってどんな感じかわからないから、注文するときちょっと勇気いるよね」
「確かにね」
お刺身と天ぷらがセットになってる、このお刺身がそのまま単品なのかな?
ほかのメニューにお刺身が登場してたりは…しない…。
単品のお刺身の写真も…。
う~ん、ないね。どこにもない。
誰か、近くのお客さんで単品のお刺身注文してる人いないかな…。
ふいに周囲を見回すののちゃん。
う~ん、やっぱりいないかな…。
あ、デザートメニューも結構たくさんある。
もしお刺身の量が少なかったらあとでデザート追加してもいいかも。
この中だったら、アイスが食べやすいかな~。
あ、アイスといえば!
さっき外のワゴンでソフトクリーム売ってるの見た!
水族館オリジナルの塩味のソフトクリーム!
あれ、美味しそうだったな…。
午後、イルカショー見るときに食べてもいいかもしれない。
でも、あれ食べるなら私だけってわけにはいかないし、さっつんにも聞いてみよう。
もし午後食べるならお昼のメニュー変わってくるかもしれないし。
でも、さっつんは甘いもの食べたいときはカフェなんかに移動しそうだけどね…。
「ののちゃん、大丈夫?」
「え? うん、大丈夫だよ。ところで、さっつんは水族館で甘いもの食べるのってどう思う?」
「水族館で甘いもの?」
…あ、これだめかも。
さっつん、黙って下向いたまま全然動かない。
やっぱり水族館には魚とか見に来てるんだもんね、甘いもの食べに来てるわけじゃないもんね。
なんか答えに困らせちゃってるみたいで申し訳ない。
「…あ、ごめん、やっぱりなんでもない」
「え、大丈夫だよ」
どうしよう。
さっつんがソフトクリーム食べないのに私だけ食べるわけにはいかないし。
考えてみれば、私だけ途中でアイス追加注文するのもなんか気まずいから、やっぱりお刺身は諦めて、普通のメニュー頼んだほうが良さそう…。
となると、比較的ボリューム抑えめで食べやすそうなものを…。
メニューを閉じる2人。
「私、メニュー決まったよ。ののちゃんは?」
「うん、私も決まった~。じゃあベル押すね」
ベルを鳴らすののちゃん。
店員がやってくる。
「お決まりでしょうか」
「ホットケーキをひとつ」
さっつんが言った。
「ビーフカレーをひとつ」
ののちゃんが言った。
「かしこまりました」
え、さっつんホットケーキなの!?
お互いに見つめ合う2人だった。
さっつん目線
水族館内のレストランにやってきた、さっつんとののちゃんの2人。
それぞれメニューを開き、食べたいものを選び始める。
おすすめメニュー、海鮮丼なんだ。
美味しそう…。
こういう海に近いところのお魚、新鮮なんだろうなあ…。
あ、待って。
お魚って、さっき生きて泳いでるところ見たばっかりじゃん。
いや、そりゃもちろん種類は違うでしょうけど?
でも、それってどうなの?
「え…。さっつん、生きてるお魚見たすぐあとでお魚食べちゃうの…?」
みたいに思われないかな…?
ののちゃんは優しいからそういうところ気にする人かもしれない…。
どうしよう、違うメニューにしたほうがいいかな…?
「写真がないメニューってどんな感じかわからないから、注文するときちょっと勇気いるよね」
「確かにね」
何? 写真がないメニューって何?
ほとんどのメニューは写真つきで載ってるけど…。
あ、よく見たら、ビーフカレーに中華丼、ラーメンなんかの王道メニューは名前だけで写真載ってない!
ののちゃんが迷ってるのこれかあ…!
やっぱり海鮮じゃない…!
こんなに大きな写真つきでメニューに載ってるのに、全然眼中にないじゃん…!
ということは、やっぱり水族館で魚食べるなんて考えられない派だ…!
そっかあ…。
仕方ない、残念だけど、ここは私も海鮮丼をやめて無難なメニューを選ぼう。
ふいに周囲を見回すののちゃん。
ののちゃん、周り気にしてるな。
なんだろう。お手洗いかな。
そういえばさっきからやたらとメニューのページめくって、ののちゃんにしては珍しく落ち着きがない感じがする。
もしかしたら、あんまりお腹の調子が良くないのかな?
ののちゃん、ストレスとか寝不足とかが胃腸に来やすいタイプだから…。
「ののちゃん、大丈夫?」
「え? うん、大丈夫だよ。ところで、さっつんは水族館で甘いもの食べるのってどう思う?」
「水族館で甘いもの?」
どうしてこのタイミングで甘いものの話?
ののちゃんは小食だからランチにスイーツつけるタイプじゃなかったと思うけど…?
ここのスイーツって…。
あ、ホットケーキがある。
ひょっとして、本当はあんまり食欲なくてホットケーキくらいの軽食にしておきたいけど、ランチに自分だけホットケーキ頼むのってなんかどうなのかなって思ってるとか?
それで私に合わせて無理に普通の頼もうとしてる?
いやいや、そんな、全然無理することないのに。
「…あ、ごめん、やっぱりなんでもない」
「え、大丈夫だよ」
ここは私も海鮮丼みたいな本格的なメニューはやめて、ホットケーキにしておこうかな。
そうしたほうが、ののちゃんも安心してホットケーキ頼めるよね。
メニューを閉じる2人。
「私、メニュー決まったよ。ののちゃんは?」
「うん、私も決まった~。じゃあベル押すね」
ベルを鳴らすののちゃん。
店員がやってくる。
「お決まりでしょうか」
「ホットケーキをひとつ」
さっつんが言った。
「ビーフカレーをひとつ」
ののちゃんが言った。
「かしこまりました」
え、ののちゃんビーフカレーなの!?
お互いに見つめ合う2人だった。