大切な人を亡くしても生きる決意の話

シェイクスピア全集『ロミオとジュリエット』(シェイクスピア:作、松岡和子:訳/ちくま文庫)を読んでおくと
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ふう。

本を閉じると、あたしはソファに横たわった。

それほど長くもない正月休み。

なにもすることがない、とぼやいたあたしに「ちーこも一度読んでおいたほうがいいよ!」と友達のゆんみるが押しつけてきたのが、この『ロミオとジュリエット』。

そういえば原作は知らないなと思ってとりあえず読んではみたけれど…。

「わかりやすくあいつが好きそうな話だな」

一目見るなり両想いになる運命の出会い。

お互いお熱上がりっぱなしの状態で結婚。

そして離ればなれからの、相手を追って2人とも自害。

「愛に生きて愛に死にたいわ~」ってうっとりしてるゆんみるの姿が目に浮かぶ。

まあ、このくらいのあらすじなら読む前から知ってはいたけど。

あたしは10代の頃から青春恋愛系のストーリーが苦手だった。

小説も、ドラマも、映画も。

特にカップルの片方が不治の病に冒されている話は好きじゃなかった。

人が死んで悲しいのは当たり前でしょうよ、としか思えなくて。

でも大人になったせいか、単純にゆんみると付き合ううちに慣れてきたのか、最近は考え方が少しだけ変わるようになった。

現実とは異なるフィクションの世界だからこそ、人が死ぬことも美しく感動的に描けるのではないかと。

恋愛ものも同じく。

こんなの現実じゃ絶対あり得ないと切り捨てるのではなく、虚構の世界だからこそ、現実じゃあり得ない展開を楽しもう、そう思えるようになった。

だから『ロミオとジュリエット』のストーリーも、美しいとは思う。

この人しか考えられないという運命の人といつかばったり出会えたらいいのに、と憧れる気持ちもわかるし、好きな人の死に絶望して自ら死を選ぶ姿も、純粋で美しいと思う。

どちらか1人だけが命がけで愛しているのではなく、2人ともなところもいい。

どちらも裏切られずにすむ。

悲劇でありながらも、あの2人はそれなりに幸せだったんじゃないかと思えるし。

けれど、それは虚構の世界だけの話。

亡き人を追いかけて自分も死を選ぶなんて、現実ではあってはならないことだ。

そこははっきり区別しないといけない。

あたしは好きな人を追いかけて死ぬなんてごめんだな。

申し訳ないけれど。

生きていればまだまだ幸せになれるチャンスがあるのに、自らそれを放棄して人生あきらめるなんて。

バカバカしい。あたしは絶対生きてやる。

そりゃ好きな人が死んだらあたしだって泣くでしょうね。

しばらくショックから立ち直れないでしょうよ。

あたしはそんなに薄情な人間じゃない。

生きる希望を失って、もしかしたら寝込むなんてこともあるかも。

でも、じゃあ後を追いかけますかっていわれると、それはないね。

絶対にない。あたしは図太い人間だもん。

生き残ったからには、生きていかなくちゃいけない。

愛する人とともに過ごした思い出を大切にしながら、幸せだった頃を遠くに見つめながら、あたしは生きていきたい。

ま、ロミオとジュリエットは出会いから別れまでが早すぎてあんまり思い出ないかもしれないけど。

その人以外を愛さないと誓うもよし、新たな出会いを探すもよし、生きている意味なんて知ったこっちゃないけど、いいことがある可能性が少しでも残っているならあたしは自分の人生を終わらせたくない。

死ぬか抜け殻になって生きるかの2択じゃなく、これからも幸せに生きるための3つ目の選択肢を探したい。

本当はあたしだって、いつか来るだろうその日が怖い。

なにがなんでも生きてやるなんて、死別の悲しみを味わったことがないから言えるのかもしれない。

でもだからこそ、いつか来るその日に自分で命を絶たないために、今から腹を決めておかないと。

恋愛に生きる人生に憧れがちなゆんみるだって、そこはちゃんとわきまえているはず。

万が一死ぬことが愛の証明だなんて本気で勘違いしていたり、絶望しておかしなことを考え始めたりしたら、あたしが目を覚まさせてやろう。

それにしても、あたしはゆんみると違って、『ロミオとジュリエット』に憧れるようなタイプじゃないのに。

わざわざこの本を受け取ってしまったのは、ただ年末年始暇だからってだけじゃなく、やっぱり…。

「ロマンチックな恋愛に憧れてるピュアなあいつが、ちょっとだけうらやましかったりするからなんだよなあ」

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