『雨上がり月霞む夜』(西條奈加/中央公論新社)を読んでおくと
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「私にできるのは祈ることだけ」
そう思う日々が続いていました。
私にはお金も、権力もなく、友人だってそんなにいません。
資金援助する力も、世界を動かす力もありません。
だからあなたが苦しんでいるのを知ったとき、私には祈ることしかできないと思いました。
これ以上あなたを苦しめる出来事が起こりませんようにと。
けれど、状況は良くなるどころか、悪くなる一方でした。
終わりの見えない暗闇に、あなたがさらに苦しむ姿を見て、私はあなたを救いたいと思いました。
周囲から「強い人間」だと思われているあなたですが、本当は自分の弱さをたくさん克服してきたこと、そして今も弱さと戦い続けていることを私は知っています。
お優しいあなたは自分が置かれた状況に対してではなく、私たちの苦しみを想像して心を痛めていることを私は知っています。
私たちの苦しみを和らげるために明るく振る舞い、前向きなお言葉をかけて下さり、私たちがどれほど救われたことか。
本当にありがとうございます。
だから今度は、ささやかながら私もお力になれればと思い、このメッセージをあなたに贈ります。
あなたのお言葉、そしてお気持ちは、私たちのもとに正しく届いています。
ですから、あまり私たちのことを心配しすぎないで下さい。
ご自分を無力だなどと思わないで下さい。
え、私ですか? 私は無力ですよ。
でもあなたは無力ではありません。
矛盾していますか?
いいえ、これは事実です。
あなたが私たちを無力ではないとおっしゃるなら、そうなのかもしれませんが、私は自分を無力だと思っているのです。
人は誰しもが弱く、自分のことを無力だと思うものです。
だからこそ、あなたが先に私たちを勇気づけて下さったので、今私はそのお返しをしているのです。
あなたが私たちに「ありがとう」を伝えて下さるから、私もあなたに「ありがとう」をお伝えしたくなった、それだけです。
いつも私たちのことを想ってくれてありがとうございます。
私たちに笑顔を届けてくれてありがとうございます。
私たちのことを支えてくれてありがとうございます。
私たちのために努力してくれてありがとうございます。
私には今の雨雲を晴らすことはできません。
しかしせめて、あなたの心が暗闇に飲み込まれる前に、このメッセージが雲間から差し込む一筋の光となりますように。
そして、私と同じ気持ちを抱いている多くの人々の言動が月の光となってこの闇夜を照らし、あなたの進むべき道を示しますように。
この苦境を乗り越えた未来のあなたが、今よりも輝きを増しているであろうことを、私は信じています。
どうぞお元気でお過ごし下さい。