2025年6月11日(水)から17日(火)まで、伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリーにて開催された「轟悠(藏人)展―希望の色に輝く響き―」。
2024年に開催された初の個展から約1年、待望の新作個展です。
宝塚歌劇団の元トップスターであり、現在は美術作家「藏人(クロード)」として活動している轟悠さんの、新たなアートの世界を詳しくレポートします。
この記事では、まず個展の概要を振り返り、その後で実際に会場を訪れて感じた感動や詳細な様子をお伝えします。
轟悠(藏人)展の概要
まずは、個展開催前に発表されていた情報や概要を振り返りましょう。
今回の個展の開催が発表されたのは2025年5月13日(火)。
伊勢丹新宿店の公式サイトで情報が解禁されました。
ちなみに、昨年の個展の様子はこちらの記事で詳しくレポートしていますので、ぜひ今回の個展と比較しながら楽しんでみてください。
テーマと注目作品
今回のテーマは「希望の色に輝く響き」。
約60点のポーリングアートが展示されることが発表されました。
実は、2024年の個展でお手紙を出したところ、今回は事前に案内ハガキを郵送してくださったんです!
ハガキは公式サイトで個展情報が解禁されるよりも早く手元に届き、「Viva! Samba!」という絵も印刷されていました。
これはあくまで私個人の体験なので保証はできませんが、轟さんへの想いを伝えたい方は、お手紙を準備していくと良いかもしれませんね。
また、このハガキには、今回の個展について轟さんからこんな素敵なメッセージが添えられていました。
宝塚の舞台で演じた思い出深い作品の中より、自由と平等、自然の中に流れる深く青い海の光、躍動的な色が交じり合い踊る愛の歌を奏でております。ご高覧いただけましたら幸いです。
さらに公式サイトでは、特に注目される2作品について、轟さんご自身からのコメントも公開されていました。
「信じる道 いつまでも」
宝塚の舞台で演じた思い出深い出演作のひとつ、ミュージカル「For the people」よりインスパイアされた作品です。自由と平等、信念と理想、命の尊さを、南軍と北軍のカラーをベースに。「The government of the people, by the people, for the people」をキャンバスの上に再び。
「海が青く歌う」
ミュージカルショー「ノバ・ボサ・ノバ」から、ブラジルの深く青い海の光と白い波。豊かな自然の中に流れる新しいボサノバとサンバのメロディーを風が運びます。
これらの情報から、宝塚時代の名作が「藏人」としての新たな表現でどう昇華されるのか、期待に胸が膨らみました。
入場方法
今回の個展は入場無料でしたが、初日の6月11日(水)のみ、事前に入場抽選が必要でした。
抽選はチケット販売サービス「パスマーケット」で行われ、エムアイカード会員が優先されるとのこと。
当選者には後日、入場の順番や集合時間、集合場所がメールで連絡され、当日は当選者に発行される入場チケットと本人確認書類、優先入場の方はエムアイカードの提示が必要だったそうです。
初日の入場は5人ずつ30分の交代制で、ゆったりと作品に向き合えるよう配慮されていました。
また、抽選入場時間が終了する17時頃からはフリー入場となることが、事前に伊勢丹新宿店アートギャラリーの公式Instagramで発表されていました。
私は家族と一緒に行きたかったのですが、抽選の申し込みは一人1枚で、時間指定もできなかったため、今回は申し込みを見送りました。
希望の色彩が響きあう、唯一無二のアート空間
ここからは、実際に個展を訪れてわかったこと、感じたことを詳しくレポートします。
会場となったのは伊勢丹新宿店 本館6階のアートギャラリー。
2024年の個展では入口に華やかなお祝いの花が並んでいたのが印象的でした。
しかし今回は、「誠に勝手ながら生花のお届けはご遠慮いただきますようお願い申しあげます」との案内が事前にありました。
そのため祝花はなく、その分すっきりと洗練された空間が、これから始まるアートの世界への期待感を高めてくれました。
会場入口には轟さんからのごあいさつメッセージと芳名帳が設置されており、メッセージを読むと事前情報にあった『For the people』、『ノバ・ボサ・ノバ』の作品群に加え、グランドショー『Let’s JAZZ』をモチーフとした作品群も展示されていることがわかりました。
案内ハガキに記載されていた「躍動的な色が交じり合い踊る愛の歌」とは、『Let’s JAZZ』を指していたのですね。
また、会場の外の壁にはそれぞれの舞台作品から1枚ずつ、合計で3枚の作品が展示され、私たちを迎えてくれました。
その中央に飾られていたのが、案内ハガキに印刷されていた「Viva! Samba!」という絵です。
これだけは非売品でした。
縦65.2×横100cmという大きな作品で、グリーンを基調に、地球を思わせる青い球体がいくつも描かれていました。
この球体の青い部分がラメでキラキラと輝き、吸い込まれそうなほどの美しさでした。
会場内では、モチーフとなった作品別に、轟さんご自身が決めたという順番で絵画が並べられており、入って左側が『Let’s JAZZ』、中央が『For the people』、右側が『ノバ・ボサ・ノバ』の作品群で構成されていました。
「希望の色に輝く響き」というテーマの通り、多くの作品にラメが効果的に使われており、見る角度によって光り方が変わるため、様々な方向からいつまでも楽しむことができました。
例えば、ホームページに掲載されていた「海が青く歌う」は青い波の部分がラメでキラキラと輝き、「信じる道 いつまでも」も葉っぱのような部分が輝いていたのが印象的でした。
また、作品群としての繋がりも随所に感じられました。
例えば、「Viva! Samba!」で描かれていた青い球体は、『ノバ・ボサ・ノバ』をモチーフにした他の作品にも登場します。
同様に、「信じる道 いつまでも」で印象的だった葉のモチーフは、『For the people』の作品群にも共通して描かれているなど、テーマごとの世界観により一層の深みを感じました。
さらに、前回の個展より絵の大きさや形のバリエーションが増え、複数の絵で一つの作品を構成するものも多く、その表現の豊かさに心を打たれました。
そして、作品のタイトルの多くが、モチーフとなった舞台やショーの歌詞の一部から取られていたのも、ファンには嬉しいポイントでした。
もし今後の個展で舞台作品が絵のモチーフになっていると発表されたら、事前に主な主題歌の歌詞をチェックしておくことをおすすめします。
ちなみに、私が個展を訪れたときには全体の約8割の作品が売約済みとなっており、特に『Let’s JAZZ』をモチーフにした絵はほとんどが完売状態でした。
リズムが感じられる明るい雰囲気のものが多く、家にも飾りやすそうだったので納得です。
会場内は基本的に撮影禁止でしたが、作品を購入された方のみ、ご自身の購入作品を撮影することが許可されていました。
なお、個展の様子の一部は伊勢丹新宿店アートギャラリーの公式Instagramでも紹介されていますので、ぜひご覧ください。
会場内にはお手紙を書くためのテーブルも用意されていました(筆記用具は各自持参)。
お手紙を預けるためのBOXもあり、スタッフの方にお声がけすると、快く受け取っていただけました。
また、スタッフの方が轟さんのことを「轟悠先生」と呼んでいらっしゃったのが、とても印象的で心に残っています。
ちなみに、作品を購入した方がその場でエムアイカードに入会すると、先着30名限定で非売品の「Viva! Samba!」のステッカーがもらえるという特典もあったようです。
さらに、会期中には心温まる出来事もありました。
6月16日(月)は轟さんの同期である稔幸さんのお誕生日。
その記念すべき日に、なんと稔幸さんご本人がInstagramを更新し、愛華みれさん、真琴つばささんと共に71期3名で個展を訪れたことをお写真付きで報告されていました。
同期の皆様の変わらぬ絆には、胸が熱くなりますね。
なお、2024年の個展と同様、会期中に轟さんご本人の在廊はありませんでした。
すぐに買える”藏人アート”。個展の感動を吉田優子先生の音楽と共に
今回の轟さんの作品を見ていると、「希望の色に輝く響き」「愛の歌を奏でる」というメッセージや、歌詞からつけられたタイトルからも感じられるように、モチーフとなった舞台作品の音楽が思い出されます。
個展に行けなかった人も、行ったけれど絵は買えなかったという人も、轟さんの「音楽を奏でるアート」に心を奪われたあなたに、ぜひ手に取っていただきたい作品があります。
それが、作曲家・吉田優子先生の作品集『Ideale(イデアーレ)』です。
実はこのCDのアルバムジャケットを、轟悠さんが「藏人」名義で担当されているのです。
吉田優子先生は、宝塚歌劇団で数々の名曲を生み出してきた作曲家。
轟さんが主演した『婆娑羅の玄孫』の音楽も担当されています。
ジャケットに使われているのは、今回の個展のテーマにも通じるような、希望にあふれた色彩のアート。
個展で得た感動の続きを、今度は優子先生の美しい音楽と共に、ご自宅でじっくりと味わってみませんか?
轟さんのアートを目で楽しみ、優子先生の音楽を耳で楽しむ――。
もちろんこのCDには、轟さんの歌声も収録されています。
個展の深い余韻に浸るための、最高の一枚となるでしょう。
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まとめ:轟悠(藏人)さんの新たな挑戦は続く
「轟悠(藏人)展―希望の色に輝く響き―」は、美術作家・藏人としての轟さんの深化と、新たな可能性を感じさせてくれる素晴らしい個展でした。
舞台の上とは違う形で、私たちに希望と感動を与え続けてくれる轟さん。
次回の個展では、一体どんな世界を見せてくれるのでしょうか。
その日が来るのを、心から楽しみに待ちたいと思います。