コンビニでも気軽にスイーツを買える時代。
そのまま食べてももちろん美味しいですが、紅茶と一緒に楽しむことで自宅でも簡単にカフェ気分が味わえます。
このとき大切なのが、スイーツに合わせて紅茶の種類を変えること。
スイーツの魅力を引き立てる紅茶を選ぶことで、単体で食べるよりも美味しく感じられるのです。
そこで今回は、スイーツと紅茶のフードペアリングを解説します。
スコーン・クッキー
紅茶に合わせるスイーツといえば、スコーンやクッキーを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
特にスコーンは、イギリスのティータイムに欠かせない焼菓子としても知られていますよね。
これらのスイーツはそのまま食べると口の中が乾燥しがちなので、紅茶で口内をさっと流しながら食べることをおすすめします。
合わせる紅茶としては、ウバのミルクティーが王道です。
ウバは世界3大銘茶のひとつとされており、強い渋みと花に似た甘い香りが特徴。
特に8~9月に摘まれたものはウバの最高級品とされ、メンソール系の爽やかさとフルーティーな甘さを感じる香りがします。
ウバのミルクティーとペアリングすることでバター分の切れが良くなり、クリーミーさとマイルドさが加わってスイーツがより美味しく感じられるでしょう。
また、スコーンやクッキーの個性を活かしたい場合は、ミルクティーにせずウバをストレートで飲むのがおすすめです。
バウムクーヘン・フィナンシェ・ワッフル
バウムクーヘンなどのしっとり系の焼菓子の場合でも、合わせる紅茶は基本的に先と同じです。
基本的に、バターを豊富に使ったスイーツにはミルクティーがよく合います。
ミルクティーにするなら、先に紹介したウバはもちろん、インド産のアッサムや中国産のキーマンもおすすめです。
アッサムはやや黒みがかった深い赤色と濃厚で強い渋みが特徴で、その色の濃さからミルクを注ぐときれいなクリームブラウンになります。
また、中国産のキーマンはウバと同じく世界3大銘茶のひとつ。
蘭の花やリンゴに例えられる、フルーティーで東洋的な香りを持ち、ミルクティーとしてもよく使われる茶葉です。
マリトッツォ・シュークリーム・ロールケーキ・クレープ
ブリオッシュ生地に生クリームをたっぷり挟んだマリトッツォは、コンビニでも販売されるようになり、話題を集めています。
そんなマリトッツォを始めとして、シュークリームやロールケーキ、クレープなど、バターとクリームをたっぷり使ったスイーツを食べるときには、口の中の濃い脂肪をライトにする紅茶がおすすめ。
濃いめの紅茶に低温殺菌牛乳を入れたミルクティーがベストペアリングです。
ミルクティーは牛乳の種類によって味や食感に違いが出てきます。
一般的に売られている牛乳は超高温滅菌(UHT滅菌)されたもの。
このタイプの牛乳は加熱の際にたんぱく質やカルシウムが焦げついてしまい、重い食感になります。
そのため、クリームをたっぷり使ったスイーツと合わせると濃厚さが増して重たくなってしまいます。
一方、低温殺菌された牛乳は香りが甘く、ネバネバした重さのないさらっとした食感が特徴です。
低温殺菌牛乳を使用したミルクティーならさっぱりした食感になるので、クリームの重さを洗い流してすっきりさせてくれます。
茶葉はウバ、アッサム、キーマンがおすすめです。
ガトーショコラ・チョコレートケーキ
チョコレート系のスイーツを食べるときには、カカオのほろ苦さをやわらげ、余韻として甘さを残してくれるドリンクを合わせると美味しさがレベルアップします。
とはいえ、紅茶自体に苦みをやわらげる効果はそれほどありません。
そのため、紅茶をアレンジしてシナモン・ミルクティーにしてみるのがおすすめです。
作り方は簡単で、粉末状のシナモンを茶葉と一緒にポットで蒸らし、ミルクを入れたカップに注ぐだけ。
シナモンはそれ自体に甘みがあるだけでなく、余韻に甘い香りが残ってカカオの苦みをなくしてくれます。
ただし、シナモンが強すぎるとスイーツの風味を変えてしまうので、ビター系にはやや多めに、スイート系には少なめにするなどの加減が必要です。
フルーツケーキ・フルーツタルト
本来、フルーツと紅茶は合わない組み合わせです。
しかし、フルーツと生クリームが一体となったケーキやタルトなどのスイーツなら、紅茶を合わせることができます。
一般的にはシュークリームやロールケーキの場合と同じく、クリーム系のスイーツにはミルクティーを合わせます。
このとき、茶葉はフルーツの個性に合わせて選んでみるのがポイントです。
以下に、スイーツに使われているフルーツと茶葉の組み合わせ例を紹介します。
フルーツ | 茶葉 (香り) |
---|---|
メロン キウイ 巨峰 マスカット | ダージリン (マスカットの香り) |
ピーチ ブルーベリー いちご バナナ | アッサム (花束のような甘い香り) |
オレンジ グレープフルーツ キウイ パイナップル | アールグレイ (ベルガモットの香り) |
このように、フルーツ系のスイーツと合わせるミルクティーには、フルーツと似た香りを持つ茶葉を選ぶのがおすすめです。
スイーツの味と香りが紅茶とマッチしてより美味しく感じられるでしょう。
また、ミルクティーではなく、スイーツと同じフルーツを使ったフレッシュフルーツティーを合わせるのもおすすめです。
フルーツティーを作るときには、軽くマイルドな味でブレンド用に広く使われる、スリンランカ産のキャンディが最適です。
フルーツは茶葉を一緒にポットに入れてよく蒸らします。
ティーカップに飾り用のフルーツを浮かべれば、香りだけでなく視覚の演出も高まります。
スイーツに合わせる場合はホットティーが基本ですが、夏場はアイスティーやアイス・フルーツ・ミルクティーにしても美味しいでしょう。
みたらし団子・大福・まんじゅう
紅茶を合わせられるスイーツは洋菓子だけではありません。
意外かもしれませんが、紅茶は和菓子にも合います。
みたらし団子や大福などの甘みが強い和菓子には、玉露や煎茶などの渋みの強いお茶を合わせるのが伝統です。
お茶の渋みが口の中の甘みをさっぱりさせ、和菓子を食べやすくさせているのです。
その点紅茶は、緑茶のように繊維質を抽出せず、タンニンとカフェインを主体に風味を作り出しているため、緑茶よりもすっきりとした切れ味を感じさせることから、和菓子の甘みともよく合います。
特に、インド産のダージリンのファーストフラッシュは和菓子に最適です。
ダージリンは茶葉を摘んだ季節によりDJ1(ディージェイワン)、ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュ、サードティー、オーナムナルに分けられます。
そのなかでも4月上旬から摘む一番茶にあたるファーストフラッシュは、緑茶に似たグリニッシュな香りが特徴。
色も紅茶には珍しい淡いオレンジ色をしています。
基本的にミルクティーは和菓子と合わないので、ストレートで飲むのがおすすめです。
バスクチーズケーキ・イタリアンプリン
バスクチーズケーキとイタリアンプリンは、どちらもチーズを使ったスイーツ。
チーズといえばワインと思いがちですが、アルコールが飲めない人やおやつタイムにスイーツを楽しむ場合は、紅茶を合わせるのがおすすめです。
そもそも、ワインとチーズが合うのは、チーズの脂肪分をワインのタンニンが分解してさっぱりさせていることと、チーズ特有の匂いをワインのフルーティーな香りで快くさせていることが理由です。
紅茶はタンニンの含有量がソフトドリンクのなかで最も多いため、ワインに負けない働きをしてくれます。
バスクチーズケーキやイタリアンプリンは、チーズだけでなく牛乳も使用されているため、紅茶を合わせるときはミルクティーにするのが最適です。
ただし、これらのスイーツに使われているチーズはそれほど個性が強くないタイプなので、茶葉も個性的な香りのものは避けましょう。
先にも登場したウバやアッサム、ブレンド茶にもよく使われるインド産のニルギリがおすすめです。
スイーツに合う紅茶を選んでティータイムをグレードアップ
紅茶は焼菓子だけでなく、さまざまなスイーツと組み合わせることができます。
バターやクリームを使ったスイーツにはミルクティーを合わせるのが基本ですが、それらを使用しない和菓子の場合はダージリンをストレートで合わせるのがおすすめ。
また、チョコレートやフルーツを使用したスイーツの場合は、紅茶をアレンジしてみるとより美味しくなります。
自宅で過ごすティータイムを充実させたい人は、ぜひ紅茶の種類にもこだわってみましょう。
国立大学にて日本文学を専攻。
一般企業に就職したのち、フリーランスのWebライターに転身。
クラウドソーシングサイトを通じて、大手出版社が運営する本のポータルサイトに書籍レビュー記事を投稿した経験を活かし、2019年に書籍・情報サイト「いかけや日記」を開設。
2020年頃、宝塚歌劇団のファンに。
舞台の原作本を読む機会が増えたことから、2024年、「いかけや日記」を宝塚原作本の紹介を中心としたサイトへとリニューアル。
なお、読書スピードは超スロー。